金色の風の軌跡

#2


  暮れなずむ夕日のなか、黄金に輝く稲穂の波に立つ少女。少女の髪もまた金色になびいて――その光景に目を奪われた。
 その娘の名はアウラといった。
 出会ったときからその眼は鮮烈に光っていた。何者も屈しないという強い意思を宿す眼。娘は村に掬う悪代官に、レジスタンスを率いて反抗していた。レムオンはこれを利用した。
 レムオンの失脚を狙う王妃エリス側の罠により起きた、ノーブルの反乱。代官ボルボラの圧政に堪えかねた末の農民の反乱だったが、そのじつはレムオンの領地であるノーブルを管理していたボルボラがエリスに寝返っていたことが起因だった。さらにボルボラはエリスの命により調べていた、レムオンに関する重要な秘密を握っていた。
 反乱を収めボルボラは始末したものの、すでに密偵を通じてエリスも知るところとなっただろう。それはあるダルケニスの女性がレムオンの父――先代エリエナイ公に送った手紙。手紙にはその女性とエリエナイ公のあいだに産まれた子どものことが書かれていたが、幸いにもその子どもの名までは書かれていなかった。レムオンはとっさにその妾腹を、何の縁もない反乱の指導者であった少女に仕立てあげた。
 始まりは保身のための身代わり。それがいつしか信の置ける同志となり、やがて自分のなかの唯一になろうとは、このとき思いもしなかった。



    2



「ティアナのことが好きなんでしょ?」
 内に秘めていた想いは誰にも知られたくなかった、特に彼女には。それでもいつかは打ち明けていたかもしれない。それくらい、いつの間にか彼女を信頼していた自分に気づくと同時に、相反する矛盾した感情に、レムオンは戸惑った。
「バカを言え! おまえも宮中のくだらぬ噂など信じているのか」
「気づかれてないとでも思ってるの? バレバレよ。いい加減認めちゃいなさいよ」
「――あぁそうだ、おまえの言うとおりだ……俺はティアナが好きだった!」
 見抜かれて動揺したのもあるが、ついムキになって怒鳴ってしまった。いつもの自分らしからぬ失態だ。普段ならば何を言ってるんだと一笑に伏すところだが、なぜかこの娘のまえでは素直に振る舞えなくなる自分がいる。
 顔を会わせれば口をついて出る憎まれ口、だが本当に嫌っているわけではない。自分の言葉に丁々発止と打ち返してくるのが、楽しくなっている自分がいた。
 レムオンはのちに振り返り思う。このときすでに自分はアウラに惹かれていたのだ、と。
「さぁ、ダルケニスとして覚醒したその力でゼネテスとアウラをやっちゃいなよ」
 戯曲に登場する道化師のように、虚無の少年が無邪気に笑う。
 ちがう、傷つけたかったわけではなかったのに――。



     ***



 アウラは銀竜の首飾りを使って開くことができる隠し通路を進んでいた。入り組んだ通路の先にある二つの扉は、それぞれ二人の王女の寝室のクローゼットに続いている。こうして首飾りを使うのは久々だ。最近はレムオンに頼まれて、彼と一緒にティアナと会っていたからだ。ゼネテスとも、やはり彼に頼まれる形で一緒に訪れたことがある。レムオン相手とちがい、ゼネテスに対するティアナの態度は最初は辛辣だったものの、最近は軟化し、冒険者として活躍する彼の身を案じるまでになった。ティアナはゼネテスに惹かれている。それに気付いてからは、ゼネテスとティアナに会いに行くのははばかられた。二人の時間を邪魔するのも悪いだろう。
 レムオン、ティアナ、ゼネテス――宮中の複雑な恋模様をアウラは他人事のように傍観していた。もともと華やかな王宮の世界とは無縁に生きてきた身だ。自らがその世界に名を連ね、王家と交流を深めてもアウラの庶民感覚は抜けず、貴族社会に馴染めなかった。それも当然だ。レムオンの計らいで社交界などへの出席を免除されていて、冒険者として好きにさせてもらっている身なのだから。当人たちには悪いが、宮中に使える侍女たちのように、アウラもまた王宮の恋模様には興味があった。ティアナとゼネテスは政略上ではあるが婚約していて、ティアナに横恋慕するレムオンはどうあっても報われない。アウラとしては義兄を応援してやりたいいっぽうで、ティアナの想いも尊重してあげたいと言う気持ちもある。いずれにしろ、その恋愛模様のなかで自分は蚊帳の外である。レムオンやゼネテスにつきあってティアナに会いに行っても、アウラそっちのけで会話を弾ませることもしばしば。それは貴族社会に明るくないアウラが会話によってはついていけないというのもあるが、一番はやはり、恋をしているときは恋する相手しか見えていないからなのであろう。頼まれてつきあっているのにこの仕打ちなのだ、この恋模様の経過をすこしくらい楽しませてもらったってバチはあたるまい。
 しばらく歩いたところで二つ扉が見えてきた。手前がティアナ、奥がアトレイアの寝室のクローゼットにつながっている。敵襲などがあった場合の緊急避難用に作られた隠し通路は壁や支柱の一部が崩れ、アトレイアの部屋に通じる扉は大きな瓦礫を飛び越えなければならない。空中庭園での一件以来、どうも彼女の様子が変だ。気になってロストールに立ち寄った折に様子を見に行っているが、いつ訪れても反応は同じ。こちらとの会話を拒んでいるようだった。そっとしておいたほうがいいのだろうか。だがアトレイアを思うとき、アウラのなかで名状しがたいもやもやした感情があった。その感情のままアトレイアの部屋に続く扉へ足を向けると、突如として目のまえに黒い霧が出現した。とっさに身構えると霧のなかから人影が現れる。
「やぁアウラ」
 宮廷道に仕える少年シャリ。
 アウラはシャリがどうも好きになれない。理由はわからないが、この少年には何か得体の知れないものを感じるからだ。
「甲斐甲斐しくアトレイアに会いに来ているようだけど、残念。彼女はもう君に会いたくないってさ」
「……そこを退いて。彼女に直接聞くわ」
「やだなぁ、僕が嘘をついてると思ってるの? 悲しいけどほんとだよ。君に会うと嫌なことを思い出すからつらいんだってさ」
「嫌なこと?」
 アウラはアトレイアが嫌がることをした覚えはない。するとその心のうちを読んだように、シャリが言った。
「アトレイアを傷つけた自覚、ないんだ。まぁたしかに君は彼女に何もしていない。そう、
 わざとらしい、含みのある言いかたが引っかかる。
「とにかくさ、もうやめたら? 誰にでも良い顔するのが君の得意技なんだろうけど、君のその自己満足で中途半端な優しさが招いたことでもあるんだから。二兎追うものは一兎も得ず、って知ってる? たとえ間違えたって、自分は間違ってない、いつだって相手より正しいってこと前提で生きてるんだもんね、君たち人間ってやつは」
 くすくす笑いながら煽るような文句でこちらの気分を逆撫でしてくる。〝人間ってやつは〟――他人事のようなその言葉はまるで自分はちがう、あるいは人間ですらないかのような言い草だ。それに、間違えた、とはいったい――?
「あんたがわたしをどう思おうと勝手だけど、とりあえずそこ退いてくんない」
「いいのかなぁ。いまはアトレイアに構ってる場合じゃないんじゃないの? 無駄なことしてるあいだに大事なものを失くしちゃうかもよ? ふふ、すべてが徒労に終わらないといいねぇ」
 不穏な言葉を残してシャリは消えた。カルラがロストール侵攻を宣言したことを言っているのだろう。たしかにアトレイアやティアナと会っている場合ではない。彼女らに会いに来るまえレムオンの邸に行ったが、レムオンはいなかった。セバスチャンから、レムオンがリューガ派の貴族からの出兵を拒み、ゼネテスはわずかな私兵だけでカルラに挑むことを聞いた。レムオンに物申したいが彼の居場所はセバスチャンにもわからないと言う。だがアウラは決心がつかなかった。初めてアンギルダンと戦場を経験してから、ずっとフラッシュバックする光景があった。肉を裂く感覚、血と混乱、絶鳴……。
 命を賭してでもふたたびあの場に立つか、シャラの言うように何もせず友を失うか――。
 アトレイアのことが気がかりだと言いながら、本当は戦場から逃げているだけなのかもしれない。
 いや、だとしても。いまは自分にできることをしよう。
「またいらしたのですか」
 アトレイアの部屋に侵入すると、物音に気づいたのか、彼女が振り返った。厚いカーテンに遮られ、室内は昼間でも薄暗い。ベッドに腰掛けるアトレイアの表情がかろうじてわかる程度だ。
「いまさら私に用などないでしょう?」
「アトレイア」
「外は大変なようですね。まぁ、この国がどうなろうと、私には関係ありませんけど」
「関係なくないわ。ディンガルが侵攻してきたらリベルダムのときのようにここは戦場になるかもしれない。特にカルラは貴族を憎んでる……さすがにあなたにまで手を出すとは思わないけど」
「だったら何だと言うのです? 逃げろとおっしゃるのですか? ふふ……おかしなかた。私のことなんて本当はどうでもいいくせに」
「どうでもいいなんて思ってない。どうしてそんなこと」
「じゃあどうしてティアナ様ばかり気にされるのです? 私がタルテュバ様にぶつかって、ゼネテス様に助け起こされたあと、あなたは追いかけてきてくれましたね。あのときは嬉しかった……夢を見てしまったんです。こんな私でも気にかけてくれる人がいると。でも、幻想だった。結局あなたもティアナ様のほうが好きなんでしょう? 空中庭園のときも、みんながティアナ様を見ていた。私のことなんて誰も目にもくれず」
 なんてことだ。アトレイアは完全に心を閉ざし、自分が誰からも気にかけられることのない価値のない存在だと思い込んでしまっている。
「ちがうわ、アトレイア。あなたは思いちがいをしてる」
「何がちがうと言うのです。目なんて見えなければよかった。見えないままだったらこんな思いをすることもなかった。いままで見えなかったから傷つかないでいられただけ……」
 良かれと思ってしたことがあだになっただなんて考えたくない。シャリに依頼され、彼女の視力を回復させるために色惑の瞳をとってきたが、闇の神器は使いようによっては危険な代物。神器が悪影響をもたらしたのか。いや、一概には言えない。神器を得て知恵をつけたゴブリンたちのように、必ずしも悪い結果だけをもたらすわけではない。だとすれば、依頼を受けなければよかったのだろうか。
「――アトレイア、聞いて。誰もあなたもどうでもいいなんて思ってない。ゼネテスがティアナを助けたのは、魔物の注意がティアナに向いていて、じっさいに彼女が襲われて危険だったからだし、あなたのことを気にしてなかったわけじゃない。あの場で被害が出ないようにみんな必死だった」
「――ではもし、襲われたのがティアナ様ではなく……いえ、どうせ……期待なんてするだけ無駄。それなら最初から……ければいい」
 うつむきかげんに、ぶつぶつとひとりごちはじめるアトレイア。ややあって顔をあげると、落ち着きはらった様子で言った。
「なんでもありません。それより、私などに構っていていいのですか? 誰がどうなってもいいというのならべつに構いませんが」
 通路を使って街へ連れ出したときのように、彼女やティアナを戦禍に巻き込まない場所まで避難させられたらと考えていたが。
 うっすらと微笑むアトレイア。それは嘲笑や冷笑というより、自嘲に近い。
 なんだろう。この言い知れぬ胸騒ぎは。筆舌しがたい不穏は。
 アトレイアは落ち着いている。まるでこの状況を受け入れ、達観しているようにも見えるが、ちがう。『この国がどうなろうと』という言葉どおり、彼女はすべてに関心がないのだ。そしておそらく、価値がないと思いこんでいる自分自身にすら。
 彼女はすでに、手の届かない場所にいる――理屈もなくそう感じた瞬間、アウラはとほうもない無力感にとらわれた。
「アトレイア、わたしはあなたに生きていてほしいと思ってる」
 自分にできることはないのかもしれない。そう思いながらもアウラは言った。アトレイアはただ何も返さず、静かに笑みを浮かべるだけだった。
 後ろ髪惹かれながらもアウラは部屋を出た。隠し通路ではなく、赤い絨毯の敷かれた城内の廊下だ。
 混乱に乗じて王女たちだけでも安全な場所へ連れ出そうと思ったのだが……。
 ショックを受けている場合ではない。レムオンを探そう。そして出兵させるように説得しなければ。広い城内を走り出したとき、アトレイアの隣室の扉が開いた。
「アウラ様、来ていらしたのですね」
 ティアナはアウラの顔を見るなり、安堵と焦燥の入り混じった表情を浮かべた。
「……滑稽ですよね。カルラ進軍の報せに王宮内は混乱しています。このまえはなんとか退けたとはいえ、兵は壊滅的な被害を受けましたから。それなのにレムオン様は貴族をまとめあげ、出兵を拒否しているのです。お母様やゼネテス様への対抗でしょう。こんなときに国内で争っている場合ではないのに……」
 ティアナもまた、レムオンに直談判しに行こうとしていたらしい。
「一介の王女に過ぎない私が口を出すべきことではないとわかっています。でもこのままだとあのかたは……ゼネテス様は……」
 そのさきの言葉を続けられずに、ティアナは祈るように両手を胸もとのまえで強く握った。
「ゼネテス様がアウラ様を探しておられました。見かけたら謁見の間に来るように伝えてくれと。一緒に戦ってほしいのでしょう。お願いです、どうか行かないで。あのかただけでなくあなたまで失ったら、私は……」
「ティアナ」
 わたしにできることは、なんだろうか。この大切な人たちを守ることもできず、ただ失うのを指を加えて待つか、それとも勝率の低い戦に出てひとりでも多くの人間を救うか――。
「ごめん。わたし、行くよ」
「そんな!」
 ティアナはとりすがった。「おやめください。死ににいくようなものです」
「そうかもしれない。正直言って怖い。死ぬのも、誰かを殺すのも。だけどそれより怖いのは、何もしないで大切な人たちを失うことなんだ。ゼネテス、ティアナ、アトレイア……みんなを失いたくないから」
「それなら……それならいっそティアナのそばにいてください。もし殺される運命にあったとしても、あなたがいてくれるなら」
 そう言ってからすぐに、ティアナは「ごめんなさい」と恥じいるようにうつむいた。
「馬鹿なことを言いました。こんなことを言ってもアウラ様を困らせるだけなのに……忘れてください」
「ティアナ……」
 かける言葉が見つからない。
 ティアナはうつむけていた顔をあげると、背筋を伸ばして気丈に言った。
「私にはアウラ様の行動をとめる権利はありません。行ってください。私はここで……祈っています。ご武運を」
「ありがとうティアナ。行ってくる」
 アウラは謁見の間に向かった。もう迷いはなかった。


 ゼネテスの要請に応じたアウラはカルラの侵攻に備えて装備の点検や仲間の編成を行う。兵数から絶対的に不利だが、ただ死ににいくつもりはない。先に戦線にむかったゼネテスのあとを追い、一足遅れて戦線基地に到着した。
「お、来たな」本営の天幕を訪れると、アウラに気づいたテントにかけられている大陸地図を見ていたゼネテスが振り返った。
「来ないかと思ったぜ」
「そうね、やっぱやめようかなぁと思ったけど」アウラは眉根を下げて不安げな表情をしてみせる。「なんてね、冗談よ」
「ま、こっちもまったく勝算がないわけじゃない」
 さきのリベルダムやロセン襲撃でカルラに不満を持つ者たちが義勇軍を率いて助力してくれるらしい。
「こっちも強力な助っ人を呼んできたわ」
 そう言うと、アウラはテントの外に控えていた仲間を呼んだ。その顔ぶれにゼネテスは目を丸くする。
「とっつぁん?」
「おう、元気そうだなゼネテス」
 アンギルダンは軽快に挨拶する。
「いいのかい? 朱雀将軍が敵の本陣に来ちまって」
 茶化すように言うゼネテスだが、冒険者として各地を旅していた彼ならば、アンギルダンのいまの現状を風の噂にでも聞いているだろう。さらに、もともと傭兵だったアンギルダンは昔ロストール軍として戦ったこともあると、アウラは聞いていた。勝ち目の薄いこの戦いに、それでも力を貸してほしいと頼んだところ、一も二もなく快諾してくれた。
「元、じゃよ。いまはおたずね者の身じゃ。そしていち冒険者としてアウラと旅をしておる」
「なるほど。しかしとっつぁんはいいとして、あんたはさすがにまずいんじゃないか?」
 ゼネテスはアンギルダンの横に立つ黒髪の女史に視線を向けた。
「私も似たようなものよ。カルラには命を狙われた」
 淡々と話すザギヴはカルラと戦うことに躊躇はないようだった。そんな彼女にアウラは言った。
「ザギヴは戦わなくてもいいわよ。わたしたちよりカルラのことに詳しいかと思ったから、知恵を貸してもらえれたらと思って」
「アウラ、あなたは私にカルラ攻略のための意見を聞きたいだけだったかもしれないけど、ここに来た時点でもう決めてるの、一緒に戦うって。それに、あなたから助力を請われたとき思ったの。守られてばかりなのは私の性に合わない、今度は私があなたの助けになりたいって」
 黙って聞いていたゼネテスが、後ろ頭を掻きながら口を開く。
「そちらさんにも事情がありそうだな。だがひとつ聞きたい。あんたはカルラと戦うことはよくても、ネメアと敵対する覚悟はあるのか?」
「そうね……あなたが疑うのは当然だわ。ネメア様のことはいまでも尊敬しているし、あのかたにおつかえしたい気持ちは変わらない。闇の勢力に対抗するための大陸統一……それを実現するための力になりたい。だけど、私はもう、ディンガルの玄武将軍じゃない。ただのザギヴよ。いち冒険者でアウラの仲間。いまはただ、アウラの力になりたい。本当の私を見てくれる彼女の力に」
 それに、とザギヴは今度は不敵に笑って言った。「カルラにお返しもしたいしね」
「そうか、わかった。それじゃよろしく頼むぜ」
 意外にもあっさりとザギヴの加入を受け入れたゼネテスに、連れてきておきながらアウラは拍子抜けした。それはザギヴも同じだったらしく、ゼネテスに訪ねた。
「いま私が言ったこと信用したの? 私が言うのもなんだけど、私があなたの立場だったら絶対に信用しないわ」
「信用……ってのとはちょっとちがうかもな。おまえさんのことはよく知らないから信用に足るかはわからん。だからこれは俺の勘だ。それに、おまえさんは取り繕うこともなく本心を正直に話してくれたしな。何より、俺はおまえさんを信用しているアウラを信頼してる」
「そう……」
 ゼネテスの回答を聞いて、ザギヴは腑に落ちたというより、彼の懐の深さに圧倒されたようだった。あるいは驚き呆れているのかもしれない。
「ゼネテス、ひとつまちがえてる」アウラが言うと、「うん?」とゼネテスが首を傾げる。
「わたしもザギヴを〝信頼〟してるのよ」